事業継承
私が事業継承について思うことを少し書かせていただきます。特に零細企業の身内における事業継承について。
これはあくまでも私の経験談によるものですのでご了承ください。
プロフィールコラムでも少し触れましたが、私は専門学校途中まで継ぐ予定は皆無でした。
自動車業界での独立を考えていましたから、まさかの方向転換です。
(なぜ、後を継ごうと思ったかはプロフィールコラムにて書かせていただいておりますので、ご興味のあるかたはそちらをお読みください。)
さて、本題の事業継承についてですが、私が思うことはただ一つです。
「早ければ早いほど良い」ということです。
実際私は32歳で代表取締役になっております。2024年現在で42歳になり、10年目を迎えました。
リーマンショック、コロナショックの大規模な不景気から、小さな不景気、好景気も少なからず経験させていただいております。
ただしこれは弊社のような数人規模から数十人程度の零細企業に限ってかもしれないという認識ではあります。100名を超えてくるような会社はそうではないかもしれません。
製造業(特に弊社のような部品加工)の場合の社長交代は、多くが現社長の体調不良か、急逝だと思います。
体調不良の中でも脳梗塞など命は助かっても会話ができない状態や、そもそも急逝だと会話はできません。
なにが問題になるかというと、引継ぎが全くできないまま交代となってしまうことです。
技術の継承は随時出来ていたとしても、会社の運営(お金にまつわることなど)が右も左もわからぬまま強制的に交代させられるのです。
もはやそれは事業継承とは言えないのではないでしょうか。
継ぐ方がかわいそうとも思いますし、継いでもらう側として無責任ではないでしょうか。
よくお聞きするのが「まだ早い(若い)」「もう少し経験を積んでから」と。
現社長、特に創業者であったなら、創業当時はお若かったのではないでしょうか。
あなたも若かったのです。
お気持ちはわからなくはないです。「若いとなめられる」と。
現に私は二代目としては若かったですし、当時はお取引先様、銀行様、各商社様、どこにしても窓口の方は私より年上の方ばかりでした。
口には出さずとも、「まだ30代も前半のひよっこか」「ケツの青い若造が」という目で見られていましたし、実際口に出される方もおみえになりました。
辛酸をたくさんなめさせていただきました。でもそれでいいのです。
実際、社長としてはひよっこでケツが青いのですから。
30代で交代して、代表権があったとしても、相手はこの人が最終決裁者だなんて思っていないです。
後ろに監督(先代)がいて、そこが最終決裁者だとわかっています。だから大丈夫です。
社長になってからの経験は、社長にならないとできません。
現に私もそうでした。それがむしろ誰にとっても良いと思います。
後ろに元気な先代が控えているとなれば、各お取引先様には変わらずの信用がありますし、継いだ人には相談者がいます。
若いうちに色々経験して、わからない、判断がつきにくいことは先代に相談できる。
関わる皆さんが安心できます。
これが50代前後を過ぎれば話が変わってきます。若くもないですし、社会的にもそれなりとみられ30代の若い社長とは見られ方が違います。
若いうちは、「若いからしかたないな」と可愛がってくれる人も、それなりの年齢であればそれなりの評価となってしまいます。
そして、よく代表権はご自身のままで、代表権が移らない交代があります。
代表権がないということは、簡単に言ってしまうと最終の責任を負わなくて良いということです。
これは本人にとってもよくありません。最終責任を取らなくてよいという甘えた気持ち、すなわち覚悟がありません。
交代する際には是非代表権も移してください。
ちなみになぜ私が早くして交代をすることになったかというのは、先代に「元気な内に交代しておきたい」という考えがあったからです。
実のところ、先代は私が18歳(高校三年生)の時に余命宣告を受けております。2ヶ月と・・・
スキルス胃がんでした。
幸い早期発見での治療で現在まで再発なしで元気にしております。ありがたいです。
そういうことが過去にあったので、いつ死んでもいいように早いうちに事業継承をしておかなくてはならないという思いがずっとあったようです。
現社長がそれなりのご年齢で、後継ぎが会社にいるのであれば一日も早く交代してあげてください。
そして、後継ぎの良き相談者となってあげてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。